愚行録 小説 ネタバレ

誰役を誰が演じるかまでは公表されていないようですが、 主な登場人物とそのキャストを紹介していきます。, 主人公、田中:妻夫木聡 幼い頃自分を虐待していた母親のことが語られます。, などと語る姿には何の感情も感じられません。 街から追い出してしまいます。, 一方、妻の田向友季恵(旧姓:夏原)は、 世の中に殺されても仕方ない人間なんていないし、人を殺すのが絶対に悪なんてこともなく。 そのあらすじを結末までネタバレしたいと思います!, 映画公開までストーリーを知りたくない! どこか狂っていたというのは間違いないでしょう。, そんな話をした直後、 妻夫木聡、満島ひかり主演で実写映画化で話題になっている本作。 貫井 徳郎『愚行録』の感想・レビュー一覧です。電子書籍版の無料試し読みあり。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。 幸福そうに暮らしている田向夫婦。, その姿を目にした時に 取材を行っていたのではなく その一方で、語り相手である「お兄ちゃん」のことは, 実は「わたし」から「お兄ちゃん」への独白は、 では何のためにそのインタビューがあるかと言えば、それはもう被害者の人柄を描き出すため。 それでは、本質を突き詰めたとき、この作品では誰が誰を殺したのだろう…? 少し人間の卑しさに悲しさを覚えるとともに 田向一家の裏の顔を知ることとなりました。, 自身の後輩をストーキングしていた その他の登場人物として、 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); そしてその妹である田中光子を満島ひかりさんが演じます。, なんと! アイキャッチ画像:©2017「愚行録」製作委員会 映画「愚行録」より引用 はじめに みなさんこんにちは。ナガと申します。 2月18日から映画「愚行録」が公開されました。本作品は、「慟哭」や「プリズム」の著者としても知られる貫井徳郎氏が2009年に発表したミステリー小説ですね。 ええ、はい。あの事件のことでしょ?―幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか。確かな筆致と構成で描かれた傑作。『慟哭』『プリズム』に続く、貫井徳郎第三の衝撃。, ちなみに『プリズム』は衝撃をもたらすような作品ではない。それに『愚行録』は『慟哭』と何の繋がりもない。ただ単にどれも創元推理文庫なだけである。ムリやり名作の『慟哭』と絡めることで売りさばこうという出版社の企みが見え見えである。そして私はそれに釣られて買ってしまった。, 推理小説好きあるあるだと思うが、創元推理文庫というだけでなにか格式というか、信用みたいなものを感じてしまうのだ。, この項だけで『愚行録』の内容に納得したり興味を持たれた方は、すぐにブラウザバックしてもらおう。別にわざわざ私の悪態なんぞ読まんでも、この世にはいくらでも読むべき文章があるはずだ。, スポンサーリンク 光子が「精一杯生きてきたけど、それも全部愚かなことなのかな」と話します。 事件被害者一家の田向浩樹、田向友季恵や 貫井 徳郎『愚行録』の感想・レビュー一覧です。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。格差社会の醜さを描いた、ゆるぎない傑作! ええ、はい。あの事件のことでしょ?――幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。 3つの独立した要素は、最終的にある1点で交錯するので、そうい意味では”ミステリー”的な要素も持った物語です。 Copyright© ここまで精神に食い込んでくる作品ということは間違いなく傑作なんですが、気軽にオススメできるものでもなくて、あぁ、なかなか大変なものを読んでしまったなーという感じなのでした。, そして読み終えてのタイトルの意味。 なんですが、それぞれのインタビューを読むほどに、この家族、というかこの夫婦をどんどん嫌いになっていくような構成になっているんです。, インタビュイーのそれぞれは、決してこの夫婦のそれぞれのことを悪くは言わないんですけど、明らかに嫉妬心やコンプレックスを持っていて、全員が全員はっきりと嫌いではないものの、なにかしらの不満や不快感を持っていたことがわかります。 未婚の母として苦労している自分を尻目に、 © 2020 ultimate-ez.com All rights reserved. 松本若菜 中村倫也 男の郵便物を無断で抜き取ったり、 映画「愚行録」には現在と過去、2つの時間軸が存在しています。 現在の時間軸…主人公・田中の妹が育児放棄によって逮捕され、子供は生命の危機。妹の光子は精神鑑定にかけられている。 過去の時間軸…記者である田中が調査している約1年前に起きた「田向家惨殺事件」 物語が進むにつれて観客の興味は「誰が1年前の事件の犯人なのか?」という点に集中していきますが、そこにいきなり「光子」の存在が浮上してきて、2つの時 … まるで狙いすましたかのように宮村は、 というわけで、この映画が見たい!という感情よりも先に、満島やみのこの顔を引き出すストーリーってどんなものなんだろう?っていう感情が来てしまって、原作小説に手を出してしまいました。, 物語の構成としては、主人公であるルポライターの取材インタビューという形になっていて、いわゆる”地の文”はありません。 映画『愚行録』のポスターのあの満島ひかりの表情。 あの顔は一体誰を演じたものなのか? 最終的には「なるほど…そうでしたか…」という結末が、怒涛の連打でやってくるので、是非心のどこかで「誰が満島ひかりだ? では、本当に”愚か”だったのは誰なのか? という方がいらっしゃいましたら、 インタビュイーとして直接感情を吐露する人間、惨殺された妻、虐待されて育った謎の女、子どもを衰弱死させた女。 「一家四人が突然押し入ってきた何者かに刺殺される」 Facebook で共有するにはクリックしてください (新しいウィンドウで開きます), 『何度でも洗える!独自構造で、眼鏡が曇りにくい マスク』『3枚セットで1290円…. 様々な人が放つ悪意にあてられて、「ああ、人間って醜い生き物だなぁ…。」と改めて思いたくもない印象をまじまじと突きつけられてしまいます。 平田満, 現代においていつ放送されても 紹介し続けるなど普通ではありえない行動をしていました。, 二人の同級生である宮村の話は 満島ひかりってコメディーや普通の恋愛モノにももちろん出てるんですけど、やはり出世作が園子音の『愛のむきだし』っていうこともあって、かなり”暗黒”な魅力があるじゃないですか。 そんな「愚行録」の実写映画化が決定しました!, 今回は来年に公開を控えた「愚行録」、 映画「愚行録」 ネタバレ感想 ある時、エリートサラリーマンの一家が殺害され、世間を震撼させる。 犯人が見つからないまま1年が過ぎ、改めて事件を追おうと決意した週刊誌記者の田中は取材を始める。 主観や想像が混じっていて、 「真相を少しでも知る者を殺す」為に取材を行っていました。, ですが、それが同級生である田向夫妻、 その言葉がなぜかどうしようもなく悲しくて、今も心の中に残っています。, 映画版では、 愚行録 ↑ ↑ ↑ 本題に移ろう さて、と。 ここからが本番だ。 ここからどれだけ『愚行録』がダメな作品であるかを、極限までネタバレをせずに語っていきたいと思う。 「わたし」の独白では、 今回妻夫木聡と共演ということで、この二人の競演と言えば「悪人」っていう映画があって。 さらに、本の一番最初にある事件の報道記事が掲載されており、このたった1ページの記事もまた本作における重要な要素です。 テレビっこのち→あきが国内外ドラマ、バラエティー、映画についての感想をポツリポツリ書いていきます。時々BLあります。基本ネタバレしています。ドラマのあらすじは書きません。長く続けられるように頑張ります!, 普段小説を読まないオッパッピーな私ですが、貫井徳郎さんの小説は好きで何冊か読みました。, 被害者の田向一家は旦那はデベロッパー、美人で完璧な妻、そして娘が一人と非の打ち所がない幸せそうな家族。, 浩樹が手を出した職場の女の子にまっしーも近づいて遊んだ挙句、相手が本気になったら「田向とも付き合ってたんだろ」と一方的に突き放す最低な役でした(笑), 自分の野心のためなら女たぶらかせるのも当たり前。就職希望している会社の娘ともう一人の女を二股した時も「将来苦労したくないためなら、今できる労力は惜しまない!!」と開き直っちゃえるヤツ。, そんな最低なヤツと最低なことしていた同僚まっしーは「いいやつだったなー」と泣くわけです。, しかし、友希恵の学生時代の友人・宮村(臼田あさ美)は美人で誰もが悪く言わない友希恵のことを悪く言います。, 彼女が通っていた名門大学は「内部生」 「外部生」に暗黙の了解で分かれていて、内部生は付属から上がってきた子、外部生は大学から入ってきた子。, 大学で内部生と外部生が交わることがなかったけど、外部生の友希恵はその華やかな容姿から特別に内部生から寄ってきてました。, 同じ外部生の宮村はそういった特別感もおもしろくなかったし、元カレ(中村倫也)も友希恵に取られた。←ココが一番大事。, 「自分はフラットな人間だ」と言わんばかりに宮村は田中の取材を受けていましたが、やはり個人的な悪意は感じます。, 実の子供に食べ物を与えず衰弱させたシングルマザーの光子(満島ひかり)は育児放棄の疑いで逮捕されています。, 光子はカウンセラーに自分の過去を告白し、兄も光子の弁護士から「虐待した原因は過去に何か原因があるんじゃないか」と質問され告白します。, 彼女は大学で友達になった友希恵から内部生の男性を紹介されては肉体関係を持っていき、卒業するころには誰にも相手にされなくなっていきました。, ちょうどその頃、宮村から「友希恵に人生を壊された人を知っている」と連絡をもらった田中。, このあたりでブッキーは一家惨殺事件の犯人が誰なのか、前から知ってたんだなと思いました。, 父親からの性的虐待が光子の心を壊してしまい、それは治らないまま大人になっていしまいました。, 名門大学へ入れるほど頭はいいのに、大学生活を送るために誰と付き合っていけばいいのか、人を見る目は全くなく。, しかも父親のせいで貞操観念があまりなく、内部生と呼ばれるお坊ちゃんのいいようにされてしまいます。, 彼女なりに「金持ちと結婚したい」という思いがあって肉体関係を持ちまくっていくのですが、周りからは「すぐにやらせてもらえる軽い女」の烙印を押されてしまっていたのです。, 父親とのこともそうだけど、田向家のこと、そして人知れず産み虐待してしまった子供のことを指していたんだなと思いました。, 「そこ笑うところ?」ってポイントでウフウフ笑ってるし、片やブッキーは今にも何かが崩壊しそうな不安と不満を抱えたような表情をしています。, 小説は関係者の独白のみなのでブッキーの存在はほとんどないんだけど、映画でもブッキーの存在感は薄目です。, 映像も光子がカウンセリングしてもらっている場面は真っ白なんだけど、ブッキーが出てくるシーンはどんより暗くて重々しい。. 2017年公開の映画『愚行録』のネタバレあらすじ感想。幼児虐待で逮捕された妹を持つ週刊誌の記者が、1年前に起きた一家惨殺事件の取材を始め惨殺された家族の本性が明らかになります。出演は、妻夫木聡・満島ひかり・臼田あさ美・小出恵介・松本若菜ほか   ただ、物語の構成として見事に1点に収束するものの、謎解きミステリーのようにパズルが解けたようなスッキリさは本作にはまったくありません。 『愚行録』(ぐこうろく)は、貫井徳郎のミステリー小説。2006年 3月22日に東京創元社より刊行され、第135回直木賞の候補となった。 その後、2017年に映画化された。 @Yokohama, 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。. [CDATA[ これは映画「愚行録」のキャッチコピーですが、まさにその通り!と納得してしまう物語展開。, 物語のネタバレを知っていたにも関わらず、あっという間に上映時間が過ぎていってしまいました。. これはもう、どう考えても”ひかり”要素ないですよ。満島やみの方ですよ! ©Copyright2020 ナガの映画の果てまで.All Rights Reserved. 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(U-NEXTの無料トライアルについてもっと詳しく見る), 「愚かさ」について考えさせられる独特な雰囲気と、初見だと「えっ!?」と声をあげたくなるような意外な展開の連続。, また、感想の方に書き忘れたのですが、なんといってもまずはキャストがいい味出してます!, ネタバレでストーリーを知っていたとしても十分に楽しめる映画なので、興味を持たれた方はぜひチェックしてみてくださいね!. イメージを膨らませやすいように 「愚行録」は未読ですが、映画を見たら原作が読みたくなりました。 感想. 妻夫木聡さんが事件を追う記者・田中役、 読み終わった時には大きな疲労感に襲われました。, と、 「幸福を絵に書いたような一家」とまで言われていた まず、あらすじ&結末のネタバレの前に イメージを膨らませやすいように 主な登場人物とそのキャストを紹介していきます。 主人公、田中:妻夫木聡 田中の妹、田中光子:満島ひかり その他の登場人物として、 事件被害者一家の田向浩樹、田向友季恵や 田向友季恵の友人、宮村などが登場します。 他にも登場人物はいますが、 主な登場人物としては、以上です。 この辺りのキャストについては 誰役を誰が演じるかまでは公表されて … で、今回の満島ひかりはどうなのかな~って思うんですが、ポスターを見る限りはどう考えてもコメディーや恋愛モノの満島ひかりではないじゃないですか! くれぐれも注意してください。, それでは本格ミステリーと人間の愚かさが混在した「愚行録」の世界へご招待しましょう。, まず、あらすじ&結末のネタバレの前に 凶行に及んでしまったそうです。, 殺人という大きな事件を隠したまま、 という無残極まりないもの。, 被害者である「田向一家」を取材していく中で、 被害者一家は一見すれば”理想の一家”といえる家族で、さわやかイケメンで高給取りの夫と、清楚でお嬢様な奥さんと、優秀な二人の子供たち。 3歳なのに1歳児の平均体重しかなかった遺体など、想像しただけで凹むエピソードです。, こんな三つの話が物語の構成として見事に美しく収束したところで、まったくスッキリなんでできやしませんぜ!! また、各インタビューの合間には正体が明かされないある女性から兄への語りかけが掲載されます。 【ネタバレ考察】伊藤計劃「セカイ、蛮族、ぼく。」:わずか7ページの短篇に衝撃を受けた!, 【ネタバレ】映画『去年の冬、きみと別れ』が魅せた素晴らしい原作からのアレンジとは?, 【ネタバレ】『異端の鳥』解説・考察:少年と旅する暴力と性的倒錯渦巻く169分の地獄巡り, 【ネタバレ】『ミッドナイトスワン』感想・解説:「心」の痛みが「肉体」を軋ませ、血を奪う, 『鬼詰のオメコ 無限発射編』感想:「水の呼吸 陸拾玖ノ型 潮吹き!」とか言いそうな主人公, 【ネタバレ】『TENET テネット』解説・考察:ノーランの作り出す美しき物語の「円」に惚れた!. 自分の今までの発言を思い返し、 通り魔によって命を落とします。, インタビューの合間で語られる 小出恵介 田向友季恵の友人、宮村などが登場します。, この辺りのキャストについては というのも、本作は各要素がそれぞれめちゃくちゃ後味が悪いんです。, メインとなるインタビューは、そもそも一家四人惨殺という強烈に”負”な事件の関係者へのインタビュー。 最後に誰かを殺したのは敵意や悪意ではなくある種の”愚かさ”で。 この物語には惨殺された夫婦を巡る無数の男女が登場します。 映画『愚行録』(ネタバレあり) 初めまして、当ブログの管理人の鴈丸(がんまる)です。 このブログでは、新作映画とその原作となった小説、漫画、オリジナル版の映画を見たうえで、互いを見比べながら映画のレビューをします。 貫井 徳郎『愚行録』の感想・レビュー一覧です。ネタバレを含む感想・レビューは、ネタバレフィルターがあるので安心。格差社会の醜さを描いた、ゆるぎない傑作! ええ、はい。あの事件のことでしょ?――幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。 僕は満島ひかりという女優さんが大好きなんです。 (ちなみに冒頭の報道記事ですが、Kindle版では本文外と判定されてしまったのか、この次のページからスタートする仕様になっていました。たまたま読み始める前にページを戻ってしまったので発見できましたが、普通に読んでいたら見落とすところでした!Kindle版で読む人は見落とさないように要注意です!), メインとなる関係者へのインタビュー、幕間に挟まる謎の女の語り、冒頭にそっと添えられた報道記事。 あの顔は一体誰を演じたものなのか? // ]]>, 『愚行録』の最大の肝である「インタビューのみ」という大胆な構成に関していえば、大成功だと感じている。, 地の文がまったくない中で、読者は語り手の言葉のみを頼りに物語の真相を頭の中に膨らませていくのだが、これがなかなか気持ち良い。, あれじゃないかこれじゃないかと、登場人物たちを疑い、そしてこんなトリッキーな構成にしている以上、あの貫井徳郎が何かを仕掛けてこないわけがない。読んでいる最中のワクワク感は素晴らしかった。これだけでも読む価値はあるかもしれない。…ないかもしれない。意見が割れる所だろう。, 「会話主体」「貫井徳郎」とくれば、読みやすさは折り紙付き。鬼に金棒、貫井徳郎に会話文である。彼の作品はどれも高いリーダビリティが大きな武器だが、『愚行録』に関して言えば、彼の作品の中でも最高峰の読みやすさを誇っている。きっと読書初心者でもすんなり入れるんじゃないだろうか。私は読書初心者じゃないので想像でしかないが。, あとはー…、うん、そうだな。あれだな、あれ。映像化作品だしね。読んでおくと何か得した気分になるかも。いや、いくらなんでもそれは適当に書きすぎた。とにかくあれだよ、あれ。分かるでしょ。なんか良いんだよ。漫画を読むよりも想像力を働かせるから、脳トレ的な効果を得る人がいたりいなかったりするかもしれない。後々、ボケ防止に役立ったりすることもあるかもしれないし、ないかもしれない。すべてはあなた次第である。, ここからどれだけ『愚行録』がダメな作品であるかを、極限までネタバレをせずに語っていきたいと思う。, みなさんがどれだけ付いてきてくれるのか心配で仕方ないが、勢いに任せて書き殴ってみようじゃないか。, 本当に些細なことだとは思う。だけど本読みとしてはこの気持ち悪さは、目を瞑ろうにも我慢の限界だったし、そもそも目を瞑ったら読めなくなってしまう。, 『愚行録』では何人かの語り部が現れる。彼らが順々にとある殺人事件の被害者家族について語っていく。彼らの元に記者らしき人が訪れて、それに答えているという設定になっている。, 記者から質問を受け、それに答えているシーンがたびたびあるのだが、「記者の言葉は載せない」というルールを設けているために、こんな感じの表現になる。, ええ、はい。 あの事件のことでしょ? えっ? どうしてわかるのかって? そりゃあ、わかりますよ。, 普段の会話の中でこんなふうに相手の質問をそのままオウム返しに喋ることなんてあるだろうか?, こんな喋り方をする人はいない。だから気持ち悪くて仕方ないし、もしいたとしても、そもそもこんな喋り方する奴は気持ち悪いので、どちらにしろ気持ち悪いに行き着く。気持ち悪いへの一方通行だ。, このような「オウム返し」が繰り返し繰り返し、脳髄を蝕んでくる。一回一回はさほど気にならないし、大したダメージにもならないのだが、出現するたびに「また出てきたよ…」と冷めた気持ちになってしまい、どうにも物語に没頭できなかった。, 気にならない人は幸せである。だからと言って、気になってしまう私が不幸だなんて言わせない。, 会話文のみで構成したこの作品。とても面白い試みだと思う。まあ前例が無いわけじゃないが斬新だとも思う。, この会話文、複数人が登場しているにも関わらず、どうにも書き分けができていないのだ。, 同じような言い回しが別のキャラクターから出てくると、「なんだかさっき見たような文章だなぁ」と、またまた余計なことを考えてしまう。, キャラの喋りってのは、方言や丁寧・乱暴、といった変化をさせればいくらでも書き分けができる。, だが、それとは別に「作家性」とも言える「喋るときに使いがちな表現」みたいなものがある。, 作品の中で色んな登場人物が出てきても、何か作品の中に統一された空気や価値観みたいなものがあるのを感じたことはないだろうか。, こんな余計なことやくだらないことを気にしてしまうのは、他の貫井作品ではあまり考えられない。, 元々、貫井徳郎は圧倒的なリーダビリティを武器にしている作家である。読んでいる最中に読者に思考の余所見をさせないだけの力を持った作家なのだ。, それにも関わらず『愚行録』では、しょっちゅう余所見をしてしまう。余計なことばかりを考えてしまう。, 斬新な設定に取り組んだまではいいが、作品としてのクオリティが、他の貫井作品に追いついていないのだ。, 「会話文のみで構成された作品」と謳っておくのにはそれなりに理由があると思うのは当たり前じゃないか。仮にも貫井徳郎は推理小説作家だ。誰だって何か仕掛けてくると思うだろ?, 適当に終わらそうとしている貫井徳郎の思考がこちらに伝わってくるような、あまりにも投げやりで唐突な結末。, 悲惨な要素を入れれば面白くなると思っているのか?それさえやっておけば読者が満足するとでも?, 『愚行録』なんて大仰なタイトルを冠したにも関わらず、愚行さがあまりにも希薄すぎる。, 「直木賞候補の傑作」という賞賛なんだか皮肉なんだかよく分からない一文が添えられている。大人の悪ふざけじゃないことを願う。, 元々小説の映像化作品には手を出さないようにしている。心が狭いので、自分の凝り固まったイメージでしか作品に相対することができないのだ。我ながら困ったやつだと思う。, ただ、これだけ会話劇にして失敗してる原作なので、映像化で演者がちゃんと動きを見せたり、迫力を出してくれるのであれば、それなりに面白い作品になるのかもしれない…。, ところで、この画像の左側に書いてある「仕掛けられた3度の衝撃」とは一体何のことだろうか?原作小説の全文を間違いなく読んだはずだが、まったくそんな要素は存在しなかった。あれかな、もしかして課金すると続編が出てくるとかそういうシステムなのだろうか。Kindleで読むとそういうオプションがあるとか?, 『愚行録』は他の貫井作品と比べるとイマイチである。貫井ファンである私でもあまり面白いとは思えなかったし、なによりもあのオチが悲しかった。つまらないを越えて、悲しかったのだ。, なので、極度の貫井ファンか、映画を観て興味を持った人ぐらいしか読む価値はないと私は思っている。あくまでも私の感想である。, ただそれとは別に、「小説をつまらないと思うのは、作品との距離感を間違えているから」という持論も持っているので、もしかしたら私が気付いていない楽しみ方があるのかもしれない。いや、きっとそうだ。だって俺、アホだし。, ということで、『愚行録』はきっと素晴らしい作品なので、ぜひ皆さんご購入いただき、私が気付けなかった面白さを発見してもらいたいと思う。, 子どもたちの自由奔放な発想というのは、くだらなくて取るに足らないものであることが多いが、たまにとてつもない輝きを放っているときがある。大人たちの固定概念がこびりついた脳からはとてもたどり着けない飛躍がそこにはある。, 普段は大企業の末端で、大量の部下を抱えて死にそうになっています。というか死にたい。, はやくブログで稼いで、自由を手に入れたいと常々思いながら、ゴロゴロしちゃう背徳感。. そしてその子供を殺害した理由ではありません。, 大学卒業後、 痴漢常習犯にでっち上げるなどして、 2020 All Rights Reserved. (adsbygoogle=window.adsbygoogle||[]).push({}); 主人公・田中の妹が育児放棄によって逮捕され、子供は生命の危機。妹の光子は精神鑑定にかけられている。, 物語が進むにつれて観客の興味は「誰が1年前の事件の犯人なのか?」という点に集中していきますが、そこにいきなり「光子」の存在が浮上してきて、2つの時間軸の物語が交わっていく…。, 小説の方もそうでしたが、映画で見てみても「素晴らしい構成だな」と感心してしまいました。, ・大学生になった光子は、幸せな家庭を築くために「内部生」と呼ばれる家柄のよい男子との結婚を夢見る。, ・しかし、実際には体目当ての内部性にとっての「都合のいい女」というポジションになってしまう。その際に光子を内部生の男子に斡旋していたのが田向夫人。, ・ある日、幸せそうな家庭を築いている田向家を見て光子のなかの何かが崩壊。一家全員の命を奪う。, 「自分はどうあっても田向家のような幸せな家庭を築けない」という悟りこそが、衝動的な犯行の理由でした。, なぜなら、兄である田中は妹・光子が田向家の犯人であることを最初から知っているからです。, 田中の真の目的は『光子が犯人であることを知っている人物がいないか確認すること』でした。, 光子は育児放棄の件で逮捕されてはいるものの、田向家の事件の犯人であることはまだバレていません。, 田中は光子を守るために、インタビューをする一方で真実を知る人間がいないか調査していたんですね。, そして物語の後半、宮村という女が(動機については誤解しているものの)光子が犯人だと睨んでいることが発覚。, 別の人物を犯人に仕立て上げる偽装工作まで用意していたところに、田中の本気さがうかがえます。, 結局、育児放棄により危篤状態だった子どもは息を引き取ってしまったわけなんですが、最後まで残った謎は「この子の父親は誰なのか?」という点。, 明言こそされませんでしたが、子供の父親が田中その人であることは間違いないでしょう。, 最後に大きくスクリーンに映し出されたタイトル「愚行録」の文字がひどく印象的でした。, タイトルの通り「愚かさ」について考えさせられる作品。というのが見終わった直後の感想ですね。, 小説「愚行録」はミステリー要素が強く、物語の展開そのものに強く引き付けられました。, 一方、それに比べると映画「愚行録」では最初から田中と光子が兄妹だと明かされていたりと、ミステリー要素は弱まっていた印象です。, ・バスで田中に「お年寄りに席を譲れ」と高圧的に言ってきたおじさん。田中が足を不自由にする演技をしながら席を譲ると、気まずい顔をしながら何も言ってはこない。, ・さんざん会社の女性を弄んだ田向とその同僚。同僚は亡き田向のことを思い出し「なんであんなに良い奴が…」と涙ぐむ。, ・大学内のヒエラルキー。家柄のよい内部生と、大学から入った外部性を巡る嫉妬や羨望。宮村は内部生に受け入れられていた田向夫人に憧れ、嫉妬していたものの、記者・田中には『自分の方が立場が上だった』と話す。, しかし、かといって映画「愚行録」は「一部の愚かしい人間」に焦点を当てた作品ではないように思われます。, 映画「愚行録」を見ると「登場人物全員、悪いやつ・愚かなやつばっかり」という感想を抱くと思います。, しかし、改めて考えてみると映画内の登場人物って案外「どこにでもいるような普通の人たち」ばかりなんです。, そして、映画を見ている私たちもまた「愚かな、そして普通の人間」の1人なのではないかと…。, 小説では田中と光子の関係は終盤で明かされますし、田中がインタビューした人々の人数や設定にも違いが見られます。, もともとが「田中のインタビュー」の間に「謎の女(光子)の独白」が入るという構成なので、確かに小説版のままでは映像化には向かないでしょうからね。, 映画サイトによれば「映像化不可能と言われた超問題作、ついに完全映画化!」とのこと。, 小説では「インタビューした人によって証言が食い違う」という点が面白く、特に田向夫妻の評判がどんどん下がっていく過程などが肝だったと思うのですが、映画ではその過程はかなり省略されていました。, 代わりに、映画版ではそれぞれの証言が映像化されることにより「起こった出来事」がより生々しく感じられました。, ほぼ同じストーリーなのに媒体によって印象がかなり変わる、というのも面白い話ですよね。, 小説か映画、どちらか一方しか見ていないという方は、ぜひ、もう一つの「愚行録」もチェックしてみてください!, ※配信情報は2020年6月時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。, ※31日間のお試し期間中に解約すれば支払いはゼロ円! それぞれ被害者に対する印象を語るんですが、これがもう、ものすごく嫌な感じ。 臼田あさ美 ある未解決の一家惨殺事件を調べているルポライターが関係者数名への取材を重ねて、事件を、そして被害者家族を多角的に描いていく物語です。 濱田マリ エンタメなんでもブログ♪ , 2017年2月18日に公開です!, 目次1 『曇天に笑う』(映画)の主役三兄弟キャスト出演者!2 『曇天に笑う』映画 …, 目次1 魔法科高校の劣等生に恋愛要素?2 恋愛要素をネタバレ!3 達也かエリカが …, 目次1 「忍びの国」が実写映画に!2 「忍びの国」どんな映画?ストーリーをネタバ …, 目次1 実写映画「鋼の錬金術師」弟のアルフォンス役はCGで再現か……!?2 弟、 …, 目次1 just be friendsとは2 just be friendsの感 …, 『何度でも洗える!独自構造で、眼鏡が曇りにくい マスク』『3枚セットで1290円…価格:1290円(税込、送料無料) (2020/4/5時点). ネグレクトに始まり、暴力→性的虐待を受けてきた女性が、唯一の味方であった兄へと語りかけるんですが、達観したかのように受けてきた虐待を楽しそうに話す女の狂気性にどっぷりとした疲労感が…。, さらに冒頭の報道記事ですが、これは児童虐待の末に子どもを衰弱死させてしまったある女性の逮捕記事。 そして発売から10年以上が経った今年、 ※以下、ネタバレ注意! 小説「愚行録」の冒頭はとある別の事件の話題から始まります。 『育児放棄による女児が亡くなった事件で、母親が逮捕』 そして物語は本筋へ。 6人の関係者が田向夫妻についてそれぞれの印象を話していきます。 田向夫人のことを「清楚」「無邪気」「品が良い」と評価する人物がいる一方で、4人目の語り部(大学の同級生)である宮村は夫人のことを「性格が悪い」と語りました。 宮村は語ります。 田 … 公開最終週、終了まで残り2日というギリギリのタイミングでありましたけど、待望の『愚行録』を観て参りましたよー。 タイミングとしては仕方なしではありますが… 場面は切り替わります。, その事件というのは 彼女は児童虐待という罪によって捕まっていくのです。, ミステリの中に重厚な人間ドラマ、 最終的には「なるほど…そうでしたか…」という結末が、怒涛の連打でやってくるので、是非心のどこかで「誰が満島ひかりだ?」と思いながら読んでみる、という読み方もおすすめです!, Engineer, Designer, Web Director Copyright © CyberAgent, Inc. All Rights Reserved. 自分よりの発言になっていないかと反省したりもしました。, 小説のラストシーンでは、 「公衆便所」と呼ばれていることを知りながら、 田中の妹、田中光子:満島ひかり 読んでいる方としては変化球の”悪意”をひたすら受け続ける感じで、なかなかゲンナリしてきます。, さらに、幕間の謎の女の独白、これは完全に直球で。 そんなことも突きつけてくるような残酷なタイトルなのでした。, ちなみに、この作品の楽しみ方として「満島ひかりは誰を演じているのか?」という観点で読んでいくのもなかなか楽しいものでした。 そういう人たちがネチッこく「私はいいと思うんだけど、、、」という前置きのもと、人をネガティブにネガティブに形容し続けるんです。 アイキャッチ画像:©2017「愚行録」製作委員会 映画「愚行録」より引用 はじめに みなさんこんにちは。ナガと申します。 2月18日から映画「愚行録」が公開されました。本作品は、「慟哭」や「プリズム」の著者としても知られる貫井徳郎氏が2009年に発表したミステリー小説ですね。 というわけで、物語は上質で、構成も見事。文章も読みやすい作品なんですが、とにかく後味が悪い! 田中は一家の主であった”田向浩樹”と (adsbygoogle=window.adsbygoogle||[]).push({}); 私自身はまだ映画を鑑賞できていないため、今回の記事では、原作「愚行録」に基づいて今作品がなぜ映像化不可能と言われ続けてきたのかについて考察していきたいと思います。, 映画を宣伝する際のキャッチコピーとして「映像化不可能と言われた作品を映像化!!」というものを見かけることがある。しかし、たいていの場合その表現は誇張に過ぎない。しかし、この「愚行録」作品をという映像化に際して、この表現は誇張でも誤りでもないのです。, なぜ、映像化できないのか?それは映像メディアと活字メディアの特性の違いが大きく影響しているのです。, この「愚行録」という小説は、淡々とさまざまな登場人物が主人公の記者田中武志のインタビューに答える形で展開していきます。そのため、作品は、証言者のインタビューと武志の妹である光子の語りを交互に配置している構成になっています。, しかし、この作品に登場する人物はあくまで自分の見地から経験則から、推測から物事を語っているに過ぎない、つまり主観に基づいてのみ、一家惨殺事件ないし殺害された田向夫婦のことを語っているわけです。このようにこの作品はそのすべてを「信頼できない語り手」による口上によってのみで構成しているのです。, これがこの作品が面白いと言われる所以の大きなもののひとつなのです。登場人物が自分の立場から主観でのみ物事を語る、それ故に殺害された田向夫婦を非常に多面的にとらえることができ、かつ微妙に矛盾や相容れない部分を生じさせるのです。この主観と主観の錯綜にこそこの「愚行録」という作品の真髄があるのです。, そして、この真髄にあたる部分をどうしても映像メディアにコンバートすることができないために、この「愚行録」という作品は「映像化不可能」なのです。, 今回は非常にわかりやすい論文を発見したので、それを参考にしつつ、その理由を解説していきたいと思います。, 前田敬子さんという方が2010年に発表した三島由紀夫の「潮騒」の映画版・小説版を比較しながら映像メディアと活字メディアについて考察した「映像と活字の特性」という論文を今回は参考文献として挙げさせていただきます。, この論文で取り上げられている映像と活字の特性の違いは大きく分けると2点になります。1つ目は、「『行為』によって進む映像と『心理』によって支えられる活字」という点です。前田氏は映像は「行為」を描き、小説は「心理」を描くというふうに述べられています。つまり映像というのは行動や表情を映し出すことで、そこに内在する心情を想像させる特性を持つメディアであるのに対して、小説は内面や心情を詳細に記述することでもって、その外面、姿、表情、行動を想像させるのです。, そしてもう1点は「『見えないものは想像し難い』映像と『見えないものも想像できる』小説」という点が挙げられています。映像メディアというのは、視覚志向のメディアです。そのために画面に映し出されていない情報を表現し、鑑賞者に理解させることが非常に難しいのです。それは映像メディアとのメリットでありデメリットでもあるのです。映像はその時何が起こっているのかを分かりやすく視覚に訴えることができる一方で、明確すぎるあまりに、活字を読むときには働いていた想像力を抑制してしまう傾向にあります。, この2点を踏まえたうえで、話を「愚行録」に戻したいと思います。先ほどこの作品の真髄は主観と主観の錯綜に有り、という話をしました。そしてもっと言うなれば、この作品が「愚行『録』」というタイトルである所以はここにあるのです。, 証言者たちは、その主観でもって一家惨殺事件や田向夫婦について語るわけですが、読者はその主観から徐々に田向夫婦の実態とともに、それを語る証言者自身の内面をも読み取れるようになっているのです。これは映像メディアには絶対に表現できません。, なぜなら、映像にしてしまうと、その証言者の行動や表情が視覚情報として明確に我々に印象付けられてしまいます。ゆえにその語り上からその人の人間性を垣間見るという本作品を読み進めていくうえで最も重要で楽しい作業の一部を、映画そのものに代行されてしまうのです。これではもうこの作品の魅力は半減してしまいます。, 活字だからこそ、その主観のみからなる登場人物の証言の節々にちりばめられた心情や感情から、その人のキャラクターを自分の頭の中で作り上げていき、最終的にその人物の「愚行」の何たるかを暴き出すのです。そして、そんな数々の証言者の「愚行」を読者自身が暴く出す作業を経ることで、この作品は「愚行『録』」となりうるのです。, 映像メディアでは、確かに視覚志向で明確な情報伝達が可能です。しかし、目には見えないような微細な情報をかき集めて、見えない人物像を作り上げていくことに面白さがある本作品には、映画という媒体はとても太刀打ちできないのではないかと、勘ぐってしまうわけです。, また、そもそも映像というメディアは「行為」を描く特性があるという点を挙げましたが、「行為」を映像で見せると、それはもうソリッドで客観的に妥当性を保証された客観的事実として現前してしまうのです。, ゆえに「信頼できない語り手」によってのみ構成される、非常に不確定で主観的な情報の積み重ねによって成立している本作品を正確に映像化することは不可能であるし、正確に映像するならば、真っ黒の画面でひたすら登場人物が語り続けるだけというもはや映画とも言えない代物が出来上がることは自明です。, 映像メディアも活字メディアもそれぞれに一長一短です。そのためそれぞれの特性にかなった作品が生み出されています。しかし、それをどちらかにコンバートしようとするとき、やはりどこかで本来あった魅力は失われてしまいます。しかし、コンバートしたことによって、変換先のメディアで新たに魅力が付与される場合もあります。そういう場合には、その映像化は成功と言われるわけです。, しかしながら、この「愚行録」という作品は活字メディアの特性を最大限に発揮した作品であったわけで、その魅力はどうしても映画というメディアにはコンバートできないのです。, ゆえに私はこの作品が「映像化不可能」と言われてきたことに非常に納得していますし、それは間違いないとすら思います。, しかし、この作品が映画として新たな魅力を獲得しているということは大いにに考えられます。ゆえに私も本作品の映画版を当然見るつもりでいます。, これから映画を鑑賞する人、すでに鑑賞した人もぜひこの「愚行録」という作品を活字媒体で味わっていただきたいのです。活字というメディアの良さを再認識させられた傑作でした。, 2018年の3月に公開された『去年の冬、きみと別れ』という作品が叙述トリック小説の映画版としてすごくおもしろいアプローチをしていたので、記事を書いてみました。良かったらこちらも読んでみてください。, 参考:【ネタバレ】映画『去年の冬、きみと別れ』が魅せた素晴らしい原作からのアレンジとは?. //

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